清流の里 生出地区

 陸前高田市には各地区にコミュニティ推進協議会という組織があります。地区の住民が自分たちの手で住みよい地域にしていくために活動する組織です。
 私の地元である松阪市にも同様の組織が設立されましたが、陸前高田市では30年も前に活動が始まっており、さらに運営には市役所職員が関与せず住民の手で行っていることが大きな特徴です(イベント時には地域在住職員が応援に入るようです)。
 社会のニーズが多様化・細分化されてきた中で、画一的になりがちな行政サービスでは行き届かない場面もあり、地域の住民自身が地域を運営していく主体となることが注目されていますが、陸前高田市ではそれがすでに長い歴史を持っていました。
 私たち復幸応援センターのスタッフは矢作町の生出地区で生活をしています。住民組織の大先輩から学ぶチャンスであり、生出地区コミュニティ推進協議会の菅野事務局長にお話を伺いました。
 生出地区は市中心部から17km離れた静かな山村ですが、特産の木炭生産の減少と過疎化・高齢化の進行に危機感を抱いたことが、活動の根底にあります。そこから、4千人を超える集客力のある「おいで木炭まつり」の開催(10月の最終日曜日)や立教大学林業体験受入などで交流人口を拡大させ、地域活性化の様々な賞を受賞しています。また、地域の歴史を学ぶ教室を開催し、次世代に伝えていくための取り組みもあります。
 自分たちの住む地域の歴史や特徴を把握し、外部人材との積極的な交流を持つことなどを通じて地域の活性化につなげてきた生出地区の取り組みは非常に参考になりました。震災復興とは直接に関係することではありませんが、陸前高田市における成功事例の情報を松阪市に持ち帰りたいと思います。


【白糸の滝】
生出地区の入り口にある滝。この他、大滝・小滝と呼ばれる滝もあります。


【馬洗渕(まらいぶち)】
ここには河童が現れたという伝説があります。


【毒水(ぶすみず)】
清流なのに毒の水?戦に破れた武士が追手から逃れるために毒を流したという伝説からですが、魚もたくさんいる美しい川です。


立教大学林業体験受入】
8月30日から9月4日にかけて行われた活動の一コマです。林業体験のほか、伝統芸能鑑賞や民泊など地域ぐるみの交流を実施。今年で9回目となりました。


 川合 正晃(三重県松阪市