積木の家の集会所づくり応援

 気仙町今泉地区で、「みんなの集う場をみんなで作ろうプロジェクト」が進行しています。今泉地区復興の拠点施設となる「小さな積木の家の集会所」を地域住民やボランティアの手で作ろうという取り組みです。小さな積木の家は、地域の間伐材を利用した材料を使い、セルフビルドが可能な工法で建てられます。今泉地区では、この集会所を、地域の人々の寄り合いの場にするとともに、みんなの心の故郷とも言える「けんか七夕祭り」を復活させる拠点としても活かしていきたいと考えているようです。

 あの大津波で街がどこかに行ってしまった今泉地区には、仮設住宅を建てる十分な高台の土地も無く、ほとんどの地域の人たちはそれぞれに他の場所に仮住まいをし、復興のための準備をしています。そんな人々の心が一年に一度一つになれる「けんか七夕」の日ががまたやってくるまで、たとえ仮設ではあってもこの場所に集い、「明日の今泉の風景」を頭に描きながら共に語り合い、励ましあって前へ進もうとしているようです。

 今日は、復幸応援センターの3人で、その「小さな積木の家の集会所」づくりを手伝いに行きました。私たちは、このプロジェクトに加わっているわけではありませんが、私自身この地区の地域コミュニティの再生が気がかりで、この2ヶ月間、何度も足を運んできました。そして、このプロジェクトが種々の手続きや天候の影響で遅れ遅れになり、当てにしていた10月15日〜16日の大学生ボランティアと地域住民による組み上げの日が雨で流れてしまったために、棟梁、プロジェクトリーダーやマネージャー、設計管理者などの皆さんが細々と作業を進めることになってしまったのを傍目に見ていて、少しでも助けになれば…、少しでも皆さんの気持ちに寄り添えれば…と出しゃばった次第です。

 それでも、人数が倍になれば、作業はそれなりに進みます、地域の人や関係者のメッセージが書かれた集成材が、一本ずつ積み上げられ、少しずつ家の形が立ち上がってきました。けれども、どうやら完成の日を楽しみにしながら、後ろ髪を引かれる思いで任期を終えて我が故郷・川之江へ帰る事になりそうです。

夜には、竹駒町のコミュニティセンターで今泉地区の住民を対象にした復興計画の住民説明会がありました。戸羽市長もはじめの挨拶で触れましたが、今泉地区には人が集まれる場所が残っていません。津波で流された住宅は約600軒で、駐車場はもちろん会場近くの広場や道端が車であふれ、約300人の住民が会場を埋め尽くしていました。
 午後9時までの予定時間を30分もオーバーして行われた熱い質疑を聴いていると、プロジェクトリーダーの菅野さんが何故一日も早く「小さな積木の家の集会所」を完成させようとしているのかという理由が、痛いほどに伝わってきました。
 私は、自分の住むまちに昔からあるコミュニティが、時には煩わしく感じたりすることもあり、時にはこれを避けて生活できれば…と思ったこともありました。けれども、苦しい事や悲しい事を共に乗り越え、楽しい事や嬉しい事を共に分かち合う事で、心の平穏を保ちながら人は支えあって生きていくものであり、それが「地域の絆」というものなのだろう…という当たり前かも知れないことを、「壊滅したまち」の応援に来て改めて教えられたように思います。そして、「きっとこのまちのコミュニティは再生するだろう」という確信を持ちました。ありがとうございました。
 がんばっぺし!! 大西賢治四国中央市