まちを見守るふるさとの山

 昨夜、みぞれが降り注ぐ道を生出基地へと戻りました。
 いよいよ来ました、初雪です。
 
 陸前高田市を見守る山、氷上山。
 我が復幸応援センターから見上げている氷上山は、海にも山にも恵まれた風光明媚な陸前高田市のシンボルの一つです。

【センターから見上げる氷上山】
 
 15日(火)、観光物産協会及び復幸応援センター合同で、氷上山登山コースの状況調査に行ってきました。
 氷上山は標高874mの自然豊かな山で、古来から住民の信仰の対象として畏敬されてきた山です。登山コースは玉山コース、中央コース、スズランコースの3ルートあります。
 
 陸前高田市は数多くの観光資源に恵まれていますが、この氷上山もその一つ。地元の方々が小学校の行事で必ず登るほど親しみ深い山であるだけでなく、市外からのハイカーの誘客が見込める、一級の観光資源でもあります。
 例年であればツツジが目を楽しませる5月に山開きが開催され、ハイカーたちがこぞって山頂を目指します。その際には豚汁も振舞われるそうです。
 観光物産協会では今年度も開催を心待ちにしていたのですが、残念なことに中止せざるをえなくなってしまいました。震災後は、観光物産協会も業務多忙のため、なかなか登山ルートの状況調査に行ける状態ではなかったそうですが、冬の足音がすぐそこに聞こえるこの日、ようやく、我々復幸応援センターと合同で状況調査に行くことができました。
 
 さて、合同調査隊は、観光物産協会の佐々木さんを隊長に中央コースからアタックを開始しました。

【中央コース登山口】
 
 山麓では彩りもまだまだ鮮やかですが、寒波が上空を覆っているため、登山コースでは冷たい風が樹々の葉を吹き飛ばしています。その分、樹々の間から見上げると青く澄み渡る空。一歩一歩踏みしめる足元には、積み重なった落ち葉のじゅうたんが山頂へと延びています。

【樹々から見上げる空】
 
 中央コース登山口から登り始め、山に包まれながらゆっくりと登ること約45分、笹原の広がる9合目の祈祷ヶ原に到着します。(9合目手前にWC、祈祷ヶ原の奥には立派な造りの山小屋があります)。

【9合目到達】

【祈祷ヶ原の案内板】

【山小屋(登奈孝志荘)】
 
 祈祷ヶ原から少し進むと、眺望の良い「まわり石」という大きな岩があります。岩の上に立ち見下ろすとかなりの高度感があり、陸前高田市中心部や広田湾、遠くには金崋山まで見渡せます。

【まわり石】
 
 祈祷ヶ原からの傾斜の緩い道をさらに進むと、待ちに待った山頂です。
 合同調査隊、ついに山頂到達!

【山頂!合同調査隊】
 
 標高874m、祠や三角点が設置され、360度の展望が広がる氷上山山頂へ。
 中央登山口からは休憩時間込みで1時間10分弱の行程でした。
 山頂は陸前高田市と大船渡市の境界上にあるため、大船渡方面も見渡せます。また、北方には五葉山、さらに遠くには、雪雲で山頂を隠された北上山地の名峰・早池峰山も眺められます。
 そして、波も穏やかに太陽の光を受ける豊穣の海が輝いています。
 
 状況調査も無事に終了し、観光物産協会のお二人のおかげで思い出深い山行となりました。
 ありがとうございました。
 調査の結果、氷上山の雄大な自然を堪能することができました。
 氷上山は900mに満たない標高ながら(常陸の名峰・筑波山は標高877mで、氷上山とほぼ同じ)、海岸沿いの平野部から聳え立っているため、数字以上に高度感があり、奥深い山の雰囲気も楽しむことができます。さらには、視界を遮るものがない山頂からは、360度の眺望を楽しめるため、海や山を眺められる格好の展望台ともなっています。
 登山コースには案内標識やトイレ、山小屋も充実し、子供さんでも手軽に登れる名山であると実感しました。

【恵み豊か】
 
 市民生活に余裕が取り戻せたころには、大勢のハイカーが氷上山を訪れることを願ってやみません。
 
 「観光」という言葉は「光を観る」という意味もありますが、ぜひ多くの方にこの陸前高田市の「光」を観に来ていただくとともに、我々復幸応援センターからも陸前高田市の「光」を発信していきたいと思います。
 
 なお、玉山コースの登山口には「霊泉玉乃湯」という、宿泊もできる入浴施設もあるので、登山の汗を、こちらの湯で流すこともできます。今回の合同調査では立ち寄らなかったため、後日調査に赴きたいと思います。
(玉乃湯のある玉山金山遺跡は、世界文化遺産・平泉の繁栄を支えた長い歴史があります。)
 
 
 今日は18インチの折りたたみ自転車で生出から通勤しました。
 みぞれ交じりの昨夜でも路面は凍結しなかったようですが、宿舎の裏の山はうっすらと白くなっていました。
 生出の里から17km、正味45分の道のりは、冷気の中の走行にも関わらず、身体を熱くさせるには十分過ぎるものでした。

寒さに負けず、がんばんべーや!
 
がんばっぺし、陸前高田
 
 
須長敏明(足利市