つるし雛ってご存じですか?

 昨日、19日(月)上細根町内会館(竹駒町細根沢)でつるし雛作りが行われました。

【雪がちらつく中(夜には積もりました)】


 参加者は近くの仮設住宅に住む方や地域の方。
 先生は肥沼利江さん。わざわざ東京都東村山市秋津町から来てくださっています。
 肥沼さんは、震災前の1月に陸前高田で氷上登山をしたようです。
 そんな数ヶ月前に訪れたまちが3月11日に見るも無残な光景に変わり、心が痛んだようです。そういう事情もあり、7月から毎月1回陸前高田に来て、市内6箇所でつるし雛作りを教えて下さっています。6箇所で100名ほどの参加者がいるようです。

【左が肥沼利江先生、毎回夜行バスで来てくださってます】

 
 当初は仮設住宅に住む方を中心に行われており、地域の方は遠慮して参加しなかったそうです。しかし、家があるかないかの違いだけで、仮設に住んでいない方もそれぞれに浸水被害に遭ったり、家族を亡くしていたりと皆同じように苦労されています。
 参加者の中には、長年大事にしてきた雛人形や嫁ぐ際に持ってきた雛人形が流された方もいるようです。


 さて、つるし雛とは何かということですが、着物の布を解いて作った細工物を紐で繋げて、竹等で作った輪に吊るして飾りにした物をいうそうです。その起こりは江戸時代とされており、細工物一つひとつに長寿や健康などを願う意味があり、女の子が生まれたお祝いとして届けられ、桃の節句に飾ったといわれています。桃の節句に、あるいは女の子が生まれた時に親類縁者が作って持ち寄り、雛飾りの代わりとして飾った地域、また雛壇飾りの両側に吊るした地域等、その地域ごとに多少の違いはあります。また最近では、桃の節句だけでなく、端午の節句用に作られた物や、長寿を祈願する物、喜寿や米寿のお祝い物としてのつるし雛も作られています。細工物一つひとつに様々な願いが込められ、吊るす数にも長寿への願いが込められています。


【華やかなつるし雛】


 今回作るつるし雛は、初めての方にも作れるよう難しくせず、また仮設住宅に住む方も飾る際にかさばらずに壁からつるせるよう、輪ではなく棒に吊るすよう作っています。


【肥沼先生が作ったつるし雛完成見本】


 日中、仮設住宅にいるのはほとんどが高齢者です。若い人は働きに出ており、高齢者が一人で仮設にいることも多いとか。しかも、今まで全然違う地域に住んでいた人も多く、ご近所間の付き合いもありません。そんな方々がこのように集まれる場所はまだまだ少ないようです。

【皆、熱心に先生の説明を聞いてます】


 今回、皆さんが作ったつるし雛は来年3月1日から竹駒定住促進センター(竹駒コミュニティセンター)で展示される予定です。3月3日にはひな祭りイベントとして、≪ふるさと再生「つるし雛に願いをこめて」ひな祭り≫が行われます。大震災から1年になる節目のひな祭りを共に祝い、絆を更に結び合ってふるさと再生への前向きな気持ちを持っていただくことを目的としています。


 この日、上細根町内会館に入る前に、道を堂々と歩いてるニホンカモシカを発見。私たちが住む生出の宿舎も山奥なのでよく鹿は見かけますが、たいてい夜です。昼間に見かけることはあまりなかったのですが、写真を撮れず残念・・・。


村井将昭(稲城市