震災復興野菜を出荷中

 陸前高田市内から大船渡市方向へ走っていると米崎町でいくつもの白いドームが見えてきます。



 【幹線道路沿いに並ぶ白いドーム】


 これは「グランパファーム陸前高田」という、ドーム内でフリルレタスなどを水耕栽培する植物工場です。
 陸前高田市では、震災復興計画においてこの地区を「食農産業モデル地域」として大規模施設園芸団地の実現を目指しています。本年2月7日に、市は株式会社グランパと立地協定を結び(本年2月10日付復幸応援センターブログにも掲載しました)、経済産業省の先端農商工連携実用化研究事業の補助を受けて建設され、本年8月に完成・初出荷したのが、このドーム型植物工場です。
 陸前高田市における復興に向けての産業振興について詳しい内容を調べたいと思い、訪問して工場に関する話を伺いました。山田プロジェクトマネージャー様から、工場の概要について説明を受け、施設内の見学をさせていただきました。



 【円形水槽の中心部から外側へ自動的に移動し、収穫されます】


 この工場では、骨組みのない直径29メートルのエアドーム内に直径20メートルの丸い栽培用の水槽があり、この水槽でレタス類を水耕栽培しています。
 地下水利用して電力使用量を抑え、レタス類を1日1ドーム当たり450株、8棟で1日3,600株を生産でき、スーパーや全国展開のサンドイッチチェーンなどに出荷しています。
 見学は8月中旬の暑い時期でしたが、ドーム内は外よりも涼しく驚きました。エアコンではなく、水の気化熱で冷却しているそうです。気温だけでなく、水温・湿度・気流も含めて制御しているため、天候に左右されず安定した生産が可能となっています。
 この場所は、平地のため日照時間が長く確保でき、昼夜の気温差が大きいことで良い商品が生産でき、他県にある同様の施設と比べても陸前高田市は栽培に適した場所とのことです。
 工場で働く方はほとんどが地元雇用となっており、農業経験がなくても従事できることも特長であり、復興に重要な雇用という点からも大きな一歩となっています。
 陸前高田市では、まだ被害農地383haのうち3%(震災1年後)しか農地の復旧が進んでおらず、「食農産業モデル地域」として一層の拡大が期待されます。


 川合 正晃(三重県松阪市