葛城市有志による「あゆみ観音プロジェクト」〜材料の切り出し〜

 「あゆみ観音プロジェクト」とは、復興を祈願し津波で流された「高田松原」の松を使って観音像を彫り、陸前高田市の寺に贈る計画。
 来月3月10日には葛城市当麻の当麻寺中之坊で観音像の「のみ入れ式」、震災から3年となる来年3月11日には、陸前高田市で開眼慰霊法要を営み、9月ごろに寺に安置する予定。
 昨年5〜6月に復幸応援センターへ派遣となった葛城市職員は、陸前高田市長の「陸前高田に来てください、陸前高田を忘れないでほしい」との言葉が脳裏から離れず、「被災地の現状を広く知ってもらい、震災を風化させないためにも高田松原の松を利用して何か被災地に届けられないか」と当プロジェクトを発案。

 
 知り合いの当麻寺中之坊を通し、大津市の仏師渡邊勢山さんに相談。趣旨に賛同し、被災地を訪問した渡邊さんが彫像を引き受けることになりました。
 渡邊さんは「あゆみ観音が被災地の方々に力強い歩みをもたらす復興のシンボルとなれば」と話している。


 1月24日に陸前高田市で当プロジェクトに使用する松材を製材。
 製材業者は、樹齢約300年の松の木(長さ約2メートル、直径約0.5メートル)を無償で提供。
 あゆみ観音像は、松材を製材し、良材のみを再接合。一木彫造技法で愛らしい観音に彫り上げる。高さは0.8メートルで、台座を含めた総高は1.2メートル。
 
※渡邊勢山:"昭和の大仏師"松久朋琳・宗琳の内弟子として修練を積み、全国の文化財修復に参加。現在は仏像造顕所「勢山社」を主宰して、仏像・仏画の制作や修復を専門に行う。特に古仏修復の技量は随一といわれ、真言宗信貴山寺など複数の総本山・大本山より「大仏師」の号を授かる。まさに当代を代表する名仏師。




松材の製材状況


苅田 篤史(北海道・登別市